【雑談】アーリーデイズ出席簿 一冊目【しようよ】

317 ：名無しさん：2010/09/26(日) 00:01:15

　既に何度目かも分からぬ程決定キーを押してきた。
改行だけじゃなく、変換確定だけじゃなく、エンターキーを押してきた。

　そんな図書館の一隅に季節の変わり目の香りが漂ってきた。
衣替えをしたばかりの制服を着た中学生と思しき溌剌さと純朴さを持った娘が隣に座ったからだった。
防虫剤の香りは普段嗅げば如何と感じない生活臭だが、紙とインク。
そして滓かな化粧品の臭いの混じったこの空間では違った。
止流うずの押したターンキーの数だけ違った。

　それは頭に残った記憶と、感情の奔流を痛々しい程に惹起させた。
梃子でも動かない生活感から生々しい過去の思い出をクイッと浮かび上がらせた。

　五分遅れのチャイムに気付いたのはどちらだったのか。
　長めのスカートに白い糸屑が絡んだままに去っていったのは誰だったのか。
　
　社会と隔絶して育てられている隣の娘が放つ馴染みの香りが止流うずの失ったあの日と出逢わせた。

　さらりと、また頁を捲る音が響く。

　かちゃ、かちゃかちゃ、かちゃん。

　捲られた紙がまた菊の香りを運ぶ。

　そうだ教徒になろう。